経営理念の浸透方法に悩む経営者の方は多いものです。
多くの経営理念(企業理念)には
①自分たちの働き方や仕事の目的
②社員のこと
③世の中にどう役立ちたいか
おおむねこの3点が入っていることが多いものです。
それで結構です。尊敬する経営者の言葉を引用しても構いません。
ただ経営理念を社員にどのように理解させ、日常業務も経営理念に沿って行なってもらうにはどうすればよいのか、分からない方が非常に多いのも事実です。
例を挙げてみましょう。以下はパナソニックの経営理念です。(パナソニックHPより)
「綱領
産業人たるの本分に徹し社会生活の改善と向上を図り 世界文化の進展に寄与せんことを期す」
内容はとてもシンプルです。
そして、つづきがあります。
「信条 向上発展は各員の和親協力を得るに非ざれば得難し 各員至誠を旨とし一致団結社務に服すること 私たちの遵奉すべき精神 産業報国の精神、公明正大の精神、和親一致の精神、力闘向上の精神、 礼節謙譲の精神、順応同化の精神、感謝報恩の精神」
だんだんと経営理念が信条や行動指針のように分解されていきますね。
ただし!
ここまでならいろいろな企業で作られていますし、日々の朝礼で唱和している企業もあるでしょう。
しかし浸透していないのが現状ではないですか?
(ちなみにパナソニックでは、経営理念についてしっかりと研修をして理解を深めているそうです)
そう、一般の社員が経営理念を読んでも、自分が具体的に何をすればよいのかイメージできないのが原因です。。
「そうか、では『行動指針』も作れば良いんだ!」
と思われる経営者の方もおられるでしょう。
もちろん良いことですが、やはり浸透しません。
いちばん大切なことは、
経営理念を素因数分解すること
です。
素因数分解?
はい、中学生の時に習いましたね?
それ以上は1とその数字以外の整数では割れない、素数の集まりにすることです。
例えば、「社会の役に立つ」という言葉が経営理念に入っていたとしましょう。
「社会の役に立つ」とは、具体的にはどのような状態を想定していますか?
・新製品で人の暮らしを便利にする
・多くの人の働き口を作る
・利益をたくさん出し、多く納税をする
・公害を減らす
・二酸化炭素排出量を半分にする
・社員に経済的な恩恵を与える
・・・たくさんの言葉が出てきますね。もちろん1つではないこともあるでしょう。
でもまだ素因数に到達していませんよ。さらに分解しましょう。
「新製品で人の暮らしを便利にする」とは?
→ 新製品は毎年出しますか?
→ 人というのは、地域の人ですか?日本だけ?世界の人ですか?
→ 便利というのは、時間短縮ですか?力学的なチカラのことですか?それとも?
まだまだ分解はできそうですね。
大変な作業です。
でも、ここまで分解して
一人ひとりの行動に反映しやすい姿にしないと、浸透も実行もできない
のです。
肉を食べたら、その肉がいきなり人体の筋肉になるわけではないのと同じです。
いったんは分解して、体の中で消化・再構成して筋肉や熱に変わりますよね。
経営理念も同じです。
超具体的に社員が行動に落とし込まないと、各自が自分の使命を掴みきれません。
実はこの作業、なかなか社長ご自身ではできないのです。
なぜなら、言葉に慣れてしまっているから。
つまり従業員が、何を理解していないのかが分からないのです。
逆に言えば、しっかりと一人ひとりの社員が何をすべきか意識できれば、あとは評価制度に入れるなり、研修に入れるといった手段が考えやすくなります。
ここまでくればしめたもの。経営理念の浸透は目前です。
もしも経営理念の浸透が課題なら、社外のコンサルタントを使ってください。
経営者とコンサルタントの対話の中で、最適解を見つけられるでしょう。
当社でもご依頼をお受けしますが、もちろん他社でも構いません。
皆様の会社が、素晴らしい経営理念を持っていて
社員は自分の行動に経営理念を具体化して落とし込む
これがシンプルで真正面からのアプローチです。
そのためのキーワードは
経営理念の素因数分解
です。

Comments