それは「天性のものを持っていない人が育つ」という事実です。
私は若いころ、天性の「人を引きつける能力」を持つ人が羨ましくてたまりませんでした。
100人に一人くらいの割合で、特別なことをしていないのに人が周りに集まり、好かれる人っていますよね。ガキ大将的な、と例えたらわかりやすいでしょうか。
そういう人はある程度うまく仕事を回すし、早めにマネジメントのポジションに就くことが多いのも事実です。
私はそういう人が羨ましかったし、自分には出来ないことであることも自覚していました。
だから自分が管理職になるなど、あり得ない。悔しいけれど、持って生まれたものが違うのだから仕方がない、と。
しかし、たまたま人事責任者として多くの人を見ていく中で気付いたのです。
「人気者って、意外にビジネスマンとして伸びていないのではないか?」
そう、一定の職位まではトントン拍子で昇るのですが、そこからチカラが伸びないケースを多く目にしたのです。
なぜだろう?みんなと楽しく仕事をしているし、好かれているのに、なぜビジネス能力が伸びないのだろう。
私が見て(狭い範囲ですが)出した結論は以下の通りでした。
人望(?)があるがゆえに、それほどの努力をしなくても職位は上がった。うまく仕事もできた。しかし本当に実力が必要な事態になった時に、勉強不足ゆえに通用しなくなったのです。(もちろん力をつけている人も多いですが)
運がよければ、そのまま定年まで逃げ切れるでしょう。
しかし実力の無さに気づいた人が周囲に現れたら、場合によっては…
反対に、天性のものを持っていない人は、自分のことを理解しやすいです。自分に足りないものを早めに自覚できるのですから。
力をつける以外に、生き残る方法はないのです。
むしろ、天性のものがないことに早く気づけることはラッキーです。
性格はなかなか変えられませんが、能力はいくらでもインストール可能です。
本を読み、人と会い、教えを請い、恥をかきながら学ばなければなりません。
他人を羨ましく感じるなら、また別の能力を身につければ良いだけのことです。こんな簡単なことに気付くまで、私は長い時間が必要でした。
天性の明るさや人を引きつける力は、当然あったほうが良い。
しかし、それが無いとビジネスマンとして失格かというと、そうでもないのだと。
気づいたら気が楽になりました。と同時に、天から与えられた物が少ないぶん、ちゃんと勉強しようと思いました。私のような凡人にも、たぶん機会は平等にある。
しかし当然ながら、正当に評価されるチカラを身に着ければ、という前提で。
個人的には、世の中のビジネスパーソンの99%は凡人だと思います。もちろん私もです。ただ、他人にできて自分には出来ないことに早めに気づけてラッキーでした。なんだか私の悲しい告白のような文章になりましたが、大多数の人に当てはまるような気がして、思い切って記事にしてみました。天賦の才が無いからこそ育つ!
そう信じて、私は人と組織を育てていきたいと思います。
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