「戦略人事」とは、経営目標を達成するために以下の役割を持つ人事担当者(あるいは部門)である。
① 経営目標に基づき、人事分野で必要な目標を立案・実行すること ② 現有の人的資源を、直近の経営目標に資するよう配置すること ③ 組織の将来あるべき姿を予測し、人員の質・量の需要を明確にすること ④ 中長期的な経営目標達成のため、計画的な人的資源の育成を図ること ⑤ 社内外を問わず、人事分野の情報収集と分析を行い、情報発信すること
これらの項目は企業によって必要度の濃淡はあるものの、一般的に経営者から求められる内容となる。
ただし日本の一般企業では一部の大企業を除き、これらの機能は重視されてこなかったか、あるいは経営者自らが日常的に取り組んでいた項目である。
しかし近年、主として内部統制の要求が高まり、上記の項目を経営者自らが行うことが困難になっており、その機能を人事部門に担当させるよう変化しつつあるという背景がある。
ただし以下の問題が発生している。
① 従来の人事部門には上記の機能がなく、新しい機能の追加となる
② 経験者が社内外にほとんどおらず、専門分野でないコンサルタント会社等に指導を依頼せざるを得ない場合がある
③ 経営目標のうち、人事部門が担当する目標だけを切り分けることが困難な場合がある
④ 立案が社内でできた場合でも、ノウハウが不足して実行できないことが多い
これらの解決には人事コンサルティング会社に依頼することが最も効率がよく、費用も結果的に抑えられる場合が多い。
ただし6ヶ月から12ヶ月程度必要な場合が多いため、大手の人事コンサルティング会社への依頼は費用負担が大きく、中小企業では利用しにくい一面がある。
その場合はノウハウを持った小規模な人事コンサルタントを探し、顧問として契約して人事部門全体の指導・育成を依頼する方法を取られることが多い。
ただし選定の条件として、人事部門責任者として5年以上(可能なら10年以上)経験したコンサルタントを選択することが望ましい。
(実戦で鍛えられた人材ならば、社内へ落とし込む際の対応のノウハウが豊富)
顧問契約は、業務委託・直接雇用を問わないが、常勤が必要かどうかは個々の案件による。
また常勤はそれなりに高額になる場合が多い。
いずれにせよ、知識や方法論の豊富さよりも、一般企業の人事責任者として実戦経験を十分に積んだコンサルタントを選択することが重要なポイントである。
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