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  • 執筆者の写真前田智宏

評価制度の悲哀

バブル崩壊よりずっと以前、「成果主義」という言葉が流行りました。

年功序列ではなく、「成果」 を評価対象としようとする動きでした。

やや欠点も目に付きますが、風土に合う企業ならば、ある程度の実効性もありました。

ただ残念なことに、バブル崩壊とともに「成果主義」あるいは「目標管理制度(MBO)」が悪用され、

「ムリな目標を精神論で立てさせる」→「できなかったら役立たず認定&退職」

ということが頻繁に行われました。

ここで流行った言葉が、リストラクチャリング。すなわち「リストラ」です。

これとて構造変革が本来の意味であり、決して首切りと同義語ではありません。

しかし日本では

「成果主義」→「リストラ」→「クビ」

という図式ができてしまい、バブル崩壊後の人事界隈は荒れました。

理論武装した武闘派人事がエライとされたのです。

その結果、新しい施策はことごとく

「人員削減か、人件費抑制のためだろう」

と社員に先入観を持たれました。

あるいは会社が不要な人材に面と向かって「クビ」を言い渡す代わりに、

「人事制度で決まっていることだから、君は退職するしか無いんだ。」

と制度に言わせたのです。

これは、やってはいけなかった。

キレイごとばかりでないことは、私も長いあいだ人事責任者をしていたので分かります。

しかし、人間が集まって組織を作っている以上、厳しい判断も人が伝えるべきです。

もちろん誰もそんな嫌な役目はしたくありません。

しかし、それを人が伝えることなく

「制度上しかたがないんだ」

と、感情を持たぬ人事制度のせいにしてしまうことは、多くの苦しむ人を作り出しました。

一生涯、一つの仕事だけで生き抜くことは容易ではありません。

無用になった技術や知識にお金を払いづけることはできませんから、そのことに異論はありません。

でも…

人は人でしか磨けぬ

これは私の人材育成における信念ですが、クビを言い渡すときも同じことです。

人の心は、人にしか動かせぬ

なのです。

制度のせいにせず、厳しい言い渡しも「人」がしてこそ、言われる側も救われるというものです。言う側の痛みなど、言われる側の痛みに比べればたいしたことはありません。

ならばせめて、言われる側に面と向かって「人」として真摯に話をすべきだったのです。

華々しく迎え入れられた「成果主義」という言葉が、バブル崩壊後は恐怖を伴う言葉になった歴史を、私は忘れることができません。

時代は

心の時代

に変わりました。

なにも、社員に甘い顔をし続けろ、というのではありません。

仕組みや規則に肩代わりさせず、

良いことも悪いことも、人が真正面から人と向き合い、伝えるという

簡単な大原則を大切にしたい

と思うのです。

私が作る人事制度は、「こころ」 を大切にします。

人と企業が幸せになるために。

株式会社チームグリーン 前田智宏




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